インフラレポート2023|The Future Builders 第7回2023年12月9日
造った人、使う人。橋はみんなの「栄光の架橋」だ ー 開発技建(新潟市)
北陸自動車道の上に架かる「くろさき茶豆大橋」。名前が一般公募されたこと、たった一晩で橋げたを架けたとして話題になったこの跨道橋(こどうきょう)が開通して約半年。橋を見上げる場所をチカコホンマさんが訪ねました。
北陸自動車道を走っていると、必ずと言っていいほど目に入りますよね。「くろさき茶豆大橋」。あの文字を見ると茹でたての香りを思い出します。この橋の設計を担当したのが、品田雅人さん。建設コンサルタント会社、開発技建で構造部設計課に所属していて、入社以来ずっと橋を担当しているそうです。
橋の設計って、どんなことをするんだろう?品田さんによると「どこから橋を始めてどこで終わりにするのか、どんな形式にするのか。そして橋脚はどこにいくつ置くのか、材料は鋼材かコンクリートか。これらを検討し、設計、さらに構造計算をほぼ同時に行っていきます」。同時にいろんなことを考えていくんですね。ちょっと想像つかない。
品田さんはこれまで、10以上の橋に関わってきたそう。一番思い出深いのは、三条の歩道橋。「大きな建造物ではないんですが、初めて1人で担当したので忘れられません。入社して2、3年目だったので、担当するにあたってかなり勉強しましたし、先輩にもいろいろ教えてもらいました。あの時の努力が今の基礎になっていると思います」。この歩道橋は設計が終わった後も工事が気になりよく見に行ったそうです。
品田さんに、なぜこの仕事を選んだのか聞いてみました。なんと、ドラマで俳優が演じる建築士に憧れたのがきっかけだとか。ただ「建築」ではなく「建設」を専攻し、建造物の中では橋が造りたいと思って今の会社を選んだそうです。「吊り橋ってカッコいいですよね。特にレインボーブリッジ、好きです」。何だか急に親近感が湧いてきました。
驚いたのは、この大きな橋の設計を2人のチームで担当したこと。もっとたくさんの人が関わってそう、と言ったら「小さな橋なら1人です」と。くろさき茶豆大橋は、品田さんにとっては最も大きなプロジェクトで、設計に任命された時は不安もあったとか。「まだ20代でしたから。途中で、橋桁を下げるなど見直し作業も多かった。でも『やるしかない』と思って」。
設計に3年、工事に5年。きっとたくさんの苦労、たくさんの物語があったんだろうな。そして完成した今、新潟県の皆さんの物語を紡いでいく架け橋になっていくに違いない。(決まった!笑)「品田さんにとっても、未来につないでくれる『栄光の架橋』になりましたね」と言ったら「まだまだ。完成が出発点です」と。そもそも橋は100年持つように設計するもので、完成は一つの区切りだけれど、それから何事もなく働き続けることがゴールなのだと。くー、かっこいい~。
最後に、こっそり生まれたばかりの娘さんの写真を見せてくれた品田さん。大きくなったら北陸道から一緒にくろさき茶豆大橋を見ることを楽しみにしているんですって。お茶目な横顔の中にも、自分の仕事に対する揺るぎない誇りを感じました。
■チカポンの「現場に片思い♥」
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