インフラレポート2023|The Future Builders 第5回2023年11月29日
大河津分水に橋を架ける。 壮大な大工事に関わって ー 中元組(長岡市)
越後平野を水害から守るため建設された大河津分水。昨年、通水100年を迎えたこの人工の河川では今「令和の大改修」が行われています。日本海へとつながる河口部を約100m広げるべく山を削り、野積橋を架け替える世紀の大事業。この右岸で新野積橋(仮称)の橋台背面の盛土を担当している中元組、渡部涼さんをチカコホンマさんが訪ねました。
「橋を支える橋台、その背面の盛土を行っているところです」。現場が見下ろせる高台で、渡部さんから工事について聞きました。現在の野積橋よりも200mほど下流に架け替える新しい橋を支える部分で、既に橋を載せる橋台がいくつも建ち上がっています。「ここに新しい道ができるんだ」。未来の風景が見えてきました。
橋台自体も、中元組が3年ほど前に施工。橋台背面の盛土は、橋につながる新しい道路の基礎となります。「まだ始まったばかりなので盛土も低いですが、私たちが立っているところくらいまで立ち上げます」。そういうことなんですね。そして、今回採用されているという工法の名前を聞いて、ときめきました。「エアミルク工法」。何とも可愛らしい名前。何ですかそれ?
「セメントと水を混ぜる際、空気を入れて盛土を軽くするやり方です」。そう聞いて現場を改めて眺めると、いわゆるコンクリートよりもとろっとして、エアリーな感じがしました。どうして空気を混ぜるんだろう?
「ここは地すべりの恐れがあるので、通常のコンクリートでは重すぎるんです。そこで、盛土を軽くして、地すべりを防ぎます」。場所や土質によって工法を変えているんですね。この工法は渡部さんにとっても初めての経験。エアミルク工法は、雨の日は施工できないだけでなく、気泡材を混ぜていることから1日50cmしか打てないんだとか。へぇー、知らないことばっかり!
入社して4年目という渡部さんの仕事は、測量で構造物の位置を出したり、工事の進行状況を確認したり、写真を撮ったり。この現場では、現場を監督する2人の上司の下、技術者として業務を行っているそう。「ものづくりに興味があってこの職業を選びました。建築士も考えましたが、もっと大きな建造物がやりたいと思って」。これまでは、新潟東港の消波工事、波消し排水路へのブロックマット敷設などを担当。「できあがった時は達成感があります」と力強く話してくれました。
難しい現場の中でも先輩たちから「涼ちゃん」「涼ちん」なんて呼ばれてかわいがられていた渡部さん。「先輩を見ていると、先の先まで読んだり、予想外のことが起こってもいいように準備している。自分も経験を積んで、そうなっていきたい」と未来を語る姿がカッコいい!応援します!
■チカポンの「現場に片思い♥」
現場で見つけたちょっと気になるモノをご紹介!