新潟日報LEADERS倶楽部2025ビジネススキルアップセミナー
新潟日報LEADERS倶楽部参加企業・団体の中堅社員を対象に、ビジネスに役立つスキルの向上を目指す本セミナー。今回は、新潟日報生成AI研究所執行役員主任研究員・佐藤妙子さんが講師を務め、生成AIの基礎知識と実践的な活用法を解説。使用した「新潟日報生成AI」は、国内シェアNo.1の法人向け生成AIサービス「exaBase生成AI」に、2010年以降の個人情報を除く新潟日報新聞記事データを搭載しています。参加した33社・55人の中堅社員たちは、実際の業務で生成AIを上手に活用していくことを目指し熱心に取り組みました。
ビジネススキルアップセミナー
生成AI活用入門
ビジネスを加速する
AIの基礎と実践― これからのリーダーに必要な生成AI活用術 ―
新潟日報生成AI研究所 執行役員主任研究員
佐藤 妙子 氏
目的に合わせて使い分ける
生成AIは業務における施策立案やスケジュール作成、社内説明資料作成やプログラム生成などが得意。一方、計算が苦手で、正解や事実に基づかない出力をすることもあるので「品質判断と修正依頼は人間の役目」と佐藤さん。
利用のポイントは、まず依頼=プロンプトを明確にすること。佐藤さんは「文章作成の場合、たたき台を出してもらった後は自分で修正したほうが効率的。アイデアのブラッシュアップなど、目的への戦略を練るなら対話型で進める方がいい。使い分けをしながら付き合いましょう」と提案します。
情報漏えいとセキュリティーに注意
個人向け生成AIは入力データが学習に利用される可能性があり、情報漏えいのリスクが高くなります。法人向け生成AIはセキュリティーを高めている分、個人向け生成AIに比べ情報が古いことがあります。
佐藤さんは「これから社会人になる学生のほとんどが生成AIを日常的に利用しています。企業と社員を守るためにも、社内ガイドラインや安全な利用環境の整備が急がれます」と強調しました。
文章に関わる作業を効率化
セミナー後半は生成AIを実際に使ってのワークショップです。
まずは個人ワークで文章生成にチャレンジ。佐藤さんは「例えば、業務上の謝罪など表現に気を遣うメールを書かなければいけない時もありますよね。生成AIにメール作成を依頼すれば迅速に返信できます」。生成AIは100以上の多言語に対応した翻訳や、文章校正も可能。参加者たちは生成AIで作成したメール文の翻訳や文章校正を行い「質の高い文章になる」と驚いていました。他に長文レポートの要約機能もあり、ビジネスで使うシーンが多そうです。
アイデア提案やデータ分析・収集も得意
生成AIを利用した「アイデア出し」では、参加者への事前アンケートで悩みが多かった「チームビルディング」を取り上げます。具体的に、チームの規模やメンバーの特徴、目的などを打ち込み投げかけると、アイデアや実行へのステップを提案してくれます。よりそのチームに合った内容にしていくために、生成AIを「発想の壁打ち相手」として対話を重ねていきます。佐藤さんは「生成AIは物事を冷静に判断して出力します。依頼するには内容や目的を小さな要素に分解し、言語化しなければならないので、自然に思考が深まります。思考がたどる過程も大事な学びです」と力を込めます。
新規事業やイベント企画で、「突拍子もないアイデアをください」など口語で依頼すると、ニュアンスをくみ取り、斬新な回答を出力します。さらに参加者は、それぞれが興味のあるトピックについてデータ分析や情報収集なども試しました。
ビジネスの幅広い分野で活躍
続いてはビジネス活用の基本パターンである「効率化」「高度化」「創造」について佐藤さんが部門別の活用事例を解説。
営業部門では顧客別の提案メール最適化や競合分析などで効率化が期待されます。マーケティング部門ではSNS投稿の最適化などが容易に。「ただし広告クリエーティブ制作では、出力されたキャッチコピーの商標や、画像の著作権の確認が必要です」と佐藤さんは注意を促します。管理部門では定型業務の自動化や情報処理のエラーを削減する質の高度化などに力を発揮します。
個人ワークの最後は、参加者自身の業務での生成AI活用法を依頼。出力された活用例をグループ内で共有しました。
明日からの業務に活用できる生成AI
グループワークでは、配布資料にある例題からグループで一つ選択し、生成AIを活用して課題解決と改善を20分ほどで考え、全体にシェア。「話し合うメンバー以外の新たな視点を得られるのが生成AIの利点」「生成AIを利用すると短時間で具体的な課題抽出から解決まで行きつける」などの気付きが発表されました。
「業務での生成AI活用シーンを見つけ出し、明日からの仕事で実践していただけたらうれしいです」という佐藤さんの言葉でセミナーは幕を閉じました。
参加者の声
- これまでやや距離を置いていたが、業務における生成AIとの向き合い方、活用の方向性が見えてきたように思えた。セミナーを受けて積極的に使ってみたいと思えた。
- セミナー前から使用していたが、実際のビジネスの課題解決をグループワークで行い、より実践的であったところが良かった。
- 他の業種、企業の方が生成AIを使っているか、どのように使っているか、また悩みなどを聞いたりできて良かった。グループワークは質問の投げかけ方などが参考になった。
- 生成AIは知識としては知っており、利用したこともあったが、使う側の理解度によってできることが大幅に広がることが分かり、大変勉強になった。
プロフィール
新潟日報生成AI研究所 執行役員主任研究員
佐藤 妙子(さとう たえこ)氏
2008年新潟大学農学部卒業。印刷会社、リクルートを経て16年7月新潟日報社入社。広告局、東京支社、ビジネス局にて勤務後、24年4月よりデジタル戦略特別室(現・成長戦略特別室)。24年11月、新潟日報社の100%子会社として設立された新潟日報生成AI研究所の執行役員主任研究員に就任。現在は、新潟県内での生成AI活用の普及促進や課題解決プロジェクト推進のほか、全国の地方新聞社との生成AI活用連携などに従事。

