相続登記や後見制度を支える身近な法律家

八田 賢司 氏
相続登記義務化から約1年、登記数は増えていますか。
登記件数は伸びていますが、義務化したからというより、団塊世代が亡くなる年代に入り始めていることが要因にあると思います。
相続登記は災害時にも問題になります。被災した家屋に公費解体制度を利用したいと申請しても、未登記、あるいは相続登記手続きをしていない場合、相続人など関係者から同意を得るために大変な手間と時間がかかります。災害はいつ起こるか分かりません。平時から相続登記についてご相談いただきたいです。
また、相続に関して意識の高い方は、登記も含め亡くなった後の財産処分方法を遺言書にされますし、2000年施行の成年後見制度を利用し、信頼できる人に財産管理を任せようという動きも出てきています。
成年後見制度とはどのような制度ですか。
本人の判断能力が衰える前に後見人を選ぶ任意後見制度と、衰えた後、利害関係者が家庭裁判所に申し立てて成年後見人などを選定してもらう法定後見制度があります。親族以外の第三者後見人の中で、司法書士は全体の約35%と最も多く家庭裁判所から選任されています。
1999年に司法書士が設立したリーガルサポートという団体は、成年後見制度を支えるプロ集団です。登録していない司法書士も後見人になれますが、新潟では当会の会員約290人のうち3分の1くらいが登録して後見業務を行っています。任意後見制度は、契約型保険のようにご自身の判断能力がしっかりしているうちに契約し、必要なときにその効果を発揮できるようにすることが大切です。人生のセーフティーネットとして司法書士会を頼ってもらうべく、さらにPRしていく必要性を感じます。
会長としては、優秀な人材確保にも力を入れなければなりません。勤勉で几帳面、コミュニケーション能力の高い人は司法書士向きです。ぜひ目指していただきたいですね。
若い頃の自分にかけたい言葉は。
私は29歳で司法書士になりましたが、引っ込み思案で、当時は会合などにあまり顔を出しませんでした。しかし、人と会うことで自分にはない知識や経験を吸収できますし、それを元に新しいサービスや情報をお客さまに提供できます。ですから20代後半の自分に「人との出会いを大切に」と言いたい。当会の新人にも「殻に閉じこもらず、たくさんの人と知り合って」と話しています。
Overview [概要]

◼所在地 |
〒950-0911 新潟市中央区笹口1丁目11番地15 TEL.025-244-5121㈹ FAX.025-244-5122 |
◼法人設立 | 1967年12月15日 |
◼事業内容 | 土地建物の登記、会社の登記、相続登記、簡易裁判所での訴訟代理、裁判外での和解、少額訴訟、破産・個人再生書類作成、成年後見制度 |
◼相談窓口 |
総合相談センター TEL.025-240-7867 多重債務ホットライン TEL.025-240-7974 平日 午前10:00~12:00 午後1:00~4:00 |
◼会員数 | 285人(2025年4月1日現在) |
◼支部 | 新潟支部・上越支部・中越支部・三条支部・下越支部・佐渡支部 |
◼ホームページ | https://niigata-shiho.net/ |